過去、今、未来、100年前の西洋アンティークでつなぎます。
by croa-antique
<実店舗> 
東京都中央区銀座5-1 
銀座ファイブ2F
クロア
tel : 03-5568-0023
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過剰の花束

大学の卒論では芥川龍之介を取り上げたほど、昔から好きでしたが、どういうところが好きなのか、深く得心がいったのはこの4月のことです。

ある新聞に、関東大震災の直後の芥川龍之介の言葉が載っていました。

他の小説家たちが、「この大きな災害の前では文学や芸術など無力だ。」と嘆いたのに対して、芥川龍之介の言葉は以下のようなものでした。

「芸術は生活の過剰ださうである。成程さうも思はれぬことはない。

しかし人間を人間たらしめるものは常に生活の過剰である。

僕等は人間たる尊厳の為に生活の過剰を作らなければならぬ。

更に又巧にその過剰を大いなる花束に仕上げねばならぬ。」


震災から一か月もたたないうちに、こういう発言を発表するにはどれほどの勇気がいったことだろうと思いました。
他の作家のようにまっとうな、万人に受け入れられやすい言葉を書いた方がよほど楽だっただろうに。。。。


ちょうど同じ頃、フランスで「過剰の花束」を必死で作り上げようとしていた画家がいます。

徹底的に、きれいな女性とかわいい犬とネコと鳥ばかりを描いた人。

ルイ・イカール


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ただのきれいな女性の絵にしか見えませんが、タイトルは「手榴弾」(1917年作)
この絵で何を言いたかったのか、わかりにくすぎる!

とりわけ美しいものが好きだったイカールが26歳から30歳の間、兵士として戦地を転々とさせられて、いろんな醜いことやつらいこと苦しいことを嫌というほど経験したと思います。

でも、絵の中にはそういう汚いものをいっさい描くことなく、ただただふわふわと美しいものだけを描き続けたイカールです。


そんな彼も、世界が第二次大戦に向かおうとする頃、とうとう我慢できずに直接反戦を訴える絵を描いて出版しようとしますが、出版社はこれを拒否。絵を売ることもできなくなってしまい、イカールの画家としての生命は断たれます。

龍之介は自死。

1910年代から1930年代、二つの世界大戦に挟まれたアールデコと呼ばれる時代に「過剰の花束」を作り上げることはなんて難しいことだったんだろう。

ほんの少し前のようでいて、けっして手の届かないこの時代のものに対して、興味は尽きません。

by croa-antique | 2011-07-30 16:26 | アールデコ | Comments(0)

ミルテの花

「ミルテの花」、と聞くと、クラシック音楽がお好きな方はシューマンの歌曲を思い浮かべるかもしれません。

シューマンが結婚前夜に「献呈」という美しい曲とともに、ミルテの花を一輪添えてクララに贈ったと言われています。

d0253172_11515817.jpg

ヨーロッパでは、花嫁のブーケや髪飾りによく使われるミルテの花。











こちらは造花で作られたおかげで150年たった今も、当時のまま結婚式の晴れがましさを漂わせてくれています。

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ドイツのオークションで購入。
輸送中にガラスを割ってしまいました。(泣)

ミルテの花の部分
d0253172_11562157.jpg


花嫁花婿の名前と1864年という日付が読み取れます。
結婚式を挙げた二人はとうに亡くなってしまったけれど、造花のブーケの中に今でもまだ生きているようです。

by croa-antique | 2011-07-28 12:05 | 音楽 | Comments(0)