過去、今、未来、100年前の西洋アンティークでつなぎます。
by croa-antique <実店舗>
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職人の誇り
19世紀のイギリスは様々な手法のアクセサリーがたくさん作られました。
アンティークの中でもひときわ華やかで魅力的な分野です。 当時、いろいろなアクセサリーの中で人気ナンバーワンだったのはカメオです。 カメオというのは「浮き彫り」という意味です。 素材は、メノウやアメジスト、火山岩、象牙やサンゴなどもありますが、一番たくさん使われたのは貝です。 貝殻の茶色と白の二層になっている部分を上手に利用してデザインされました。 デザインのテーマになったのは主にギリシア神話の神様たちの姿です。 この二つのカメオのブローチはどちらもバッカンディアという女の神様の姿を彫ったものです。 ワインの神様であるバッカスの取り巻きの女神さまなので、髪には葡萄を飾っています。 同じバッカンディアを扱っていながら、この二つは全く雰囲気が異なっています。 こちらは、地に白い部分を使った大変珍しいものです。 彫った職人さんが一番こだわったのはおそらく葡萄の葉っぱなのではないでしょうか。 貝の茶色のグラディエーションを見事に生かしてリアルに表現しています。 また、ちょうど貝の色が白から茶色に変わるところを生かして表現した頬の赤みはお見事!です。 こちらは地が茶色のオーソドックスなタイプ。貝の透明な美しい白い部分を生かして、女神様の肌のなめらかさを表現しています。写真には上手く写らなかったのですが、髪の毛の一筋一筋、肩に背負ったライオンの毛皮の一本一本の毛の表現なども見事です。 今では海が汚れてしまったために、このような美しい透明感のある白い貝は育たなくなってしまったそうです。 貝の美しい白は、海が美しかった頃の証明でもあるのです。 これらを彫った職人さんたちは画家や彫刻家と違って、自分の作品にサインをいれていません。だから何と言う名前の人が作ったのかは全くわかりません。 でも、彫った人が作品に込めた情熱、技術、誇り、そして彫っている時の喜びなどはしっかりと伝わってきます。 アンティークの物がアンティークとして長い時間を経て残り、魅力も衰えるどころか、ますます増していくのも、作った名もない職人さんたちの、作品に込めた愛情と熱意、そして卓越した技術があればこそと思います。
by croa-antique
| 2011-09-03 01:07
| ヴィクトリアン
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